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デッドリフトで腰が痛くなる原因は?理学療法士がフォーム・ヒップヒンジ・重量の見直し方を解説

「デッドリフトをすると腰が痛くなる」

「お尻やもも裏ではなく、腰ばかり疲れる」

「背中を丸めないように意識すると、今度は腰を反ってしまう」

「デッドリフトは腰に悪い種目なの?」

このような疑問はありませんか?

デッドリフトは、お尻や太ももの後ろ側をはじめ、下半身や体幹を使う代表的なトレーニングです。

一方で、フォームや重量、現在の身体の状態が合っていないと、腰に痛みや違和感が出ることがあります。

ただし、

「デッドリフト=腰に悪い運動」

と考える必要はありません。

実際、腰痛がある方を対象に、専門家の管理下でデッドリフトを含む運動を行った研究では、適切に対象者を選び、段階的に実施することで痛みや機能が改善したケースも報告されています。ただし、すべての腰痛の方にデッドリフトが適しているわけではありません。

この記事では、K2 STYLE FITNESS所属の理学療法士・森野秀明が、

  • デッドリフトで腰が痛くなる原因
  • 股関節を使う「ヒップヒンジ」とは何か
  • 背中の丸まり・反りすぎはどう考えるか
  • バーベルの位置と腰への負荷
  • 重量設定と疲労によるフォームの変化
  • 筋肉の疲労感と注意したい腰痛の違い
  • 初心者がデッドリフトの前に練習したい動作
  • K2ではデッドリフトの何を確認するのか

について解説します。


理学療法士・森野の結論

デッドリフトで腰が痛くなる方は、重量だけでなく、股関節を使ったヒップヒンジができているか、腰を反りすぎたり丸めすぎたりしていないか、呼吸や体幹が安定しているか、バーベルが身体から離れていないかなどを確認する必要があります。

K2では、いきなり「背中を真っすぐにしてください」と指導するのではなく、股関節の柔軟性、ヒップヒンジ、呼吸、体幹、立ち姿勢、バーベルの軌道などを確認します。

初心者の場合は、重たいバーベルを床から持ち上げることより先に、自重で股関節から身体を折りたたむ動作を覚えることが大切です。

回答:森野秀明
理学療法士(国家資格)・パーソナルトレーナー


デッドリフトで腰が痛くなるのはなぜ?

デッドリフトは、床にある重量を単純に「腰で持ち上げる運動」ではありません。

股関節を曲げ伸ばししながら、

  • お尻
  • 太ももの後ろ側
  • 背中
  • 腹部
  • 下半身

などを協調させて行います。

そのため、股関節を十分に使えなかったり、現在扱える範囲以上の重量や可動域で動作したりすると、腰周辺で動きを補うことがあります。

ただし、腰が少し丸まっただけで「けがをする」と考えるのも適切ではありません。

持ち上げ動作における腰椎屈曲と腰痛の関係を調べたシステマティックレビューでは、腰の屈曲が大きいこと自体を腰痛発症・持続のリスクとする根拠は低品質で、一律に「腰を曲げる=危険」とすることは支持されていません。

大切なのは、

姿勢の形ひとつだけではなく、重量、動作速度、疲労、痛み、身体のコントロールなどを合わせて見ること

です。

デッドリフトで腰が痛くなる主な原因を4つに分けてまとめた図

原因① 股関節を使った「ヒップヒンジ」ができていない

森野がデッドリフトで特に確認するのが、ヒップヒンジです。

ヒップヒンジとは、股関節を支点にして、お尻を後方へ引きながら上半身を前へ傾ける動作です。

デッドリフトでは、この股関節の曲げ伸ばしを使って、

  • お尻
  • ハムストリングス
  • 股関節周辺

で負荷を受けることが重要です。

股関節を使いにくい方に見られる動き

森野が現場で確認するのは、

  • お尻を後ろへ引けない
  • 膝ばかり前へ動く
  • お尻やもも裏ではなく前ももばかり疲れる
  • お辞儀をするときに背中から曲げる
  • 動作開始時や最後に腰が大きく動く

といった特徴です。

ただし、

「腰を一切動かしてはいけない」

という意味ではありません。

腰椎も人間の身体の一部なので、動きそのものを完全にゼロにする必要はありません。

K2では、現在の負荷に対して身体を安定させながら股関節を使えているかを確認します。

デッドリフトで股関節を使いにくい場合は、ヒップヒンジの練習だけでなく、そもそも股関節をどこまで動かせるのか確認することも大切です。

股関節の硬さや詰まり感、足首・背骨・体幹との関係については、「股関節が硬いとスクワットが浅くなる?理学療法士が原因とセルフチェックを解説」でも詳しく紹介しています。


原因② 「背中を丸めない」意識で腰を反りすぎている

デッドリフトでは、

「背中を丸めるな」

とよく言われます。

そのため初心者の中には、

背中を真っすぐにする=腰を思い切り反らせる

と考えてしまう方がいます。

森野が実際に見るフォームでも、

  • 胸を張りすぎる
  • 腰を強く反る
  • フィニッシュで身体を後方へ反らす

といったケースがあります。

特にデッドリフトの最後で、

「もっと胸を張ろう」

として腰だけを後方へ反らせる必要はありません。

立ち上がったところで、お尻と身体が自然に伸びていれば十分です。


腰が丸まること自体が必ず腰痛の原因ではない

ここは誤解されやすいポイントです。

「腰が少し丸まったら椎間板ヘルニアになる」

というように、一つのフォームだけでけがの原因を断定することはできません。

研究でも、持ち上げ動作で腰椎がより屈曲していること自体が、腰痛を発症・持続させる明確なリスクとは確認されていません。

一方で、デッドリフトでは重量が大きくなるにつれて腰部へかかる力も大きくなります。デッドリフト中の腰部負荷を調べた研究やレビューでも、重量やフォームによって腰部への圧縮力・剪断力などが変化することが示されています。

したがってK2では、

「背中が1度でも丸まったらダメ」

ではなく、

  • その重量をコントロールできているか
  • 急激にフォームが崩れていないか
  • 疲れてくるほど腰だけが動いていないか
  • 痛みが出ていないか

を確認します。

普段から「姿勢を良くしよう」として腰を反らせる癖がある方は、デッドリフトのときにも同じ動きが出ることがあります。

反り腰のような姿勢と、腹部・股関節・呼吸との関係については、「反り腰の人は腹筋をしてもいい?理学療法士が腹筋の選び方と姿勢・呼吸を解説」も参考にしてください。


原因③ バーベルが身体から離れている

デッドリフトでは、バーベルの軌道も重要です。

森野が確認するポイントのひとつが、

「バーベルと身体の距離」

です。

バーベルが身体から大きく前へ離れると、その重量を支えるために身体へかかる回転方向の負荷が大きくなります。

デッドリフトのバイオメカニクス研究でも、バーや身体の位置、デッドリフトの方法によって関節モーメントや身体への負荷が変化します。

そのため、

  • バーを身体から遠くへ下ろす
  • 下ろすときだけバーが前へ流れる
  • バーを避けるように身体が動く

といったフォームになっていないか確認します。

デッドリフトの正しいフォームと腰に負担がかかりやすいフォームを比較した図

原因④ 扱っている重量が現在のフォーム維持能力を超えている

軽い重量なら問題なくできても、重量を増やした途端に、

  • 腰が大きく丸まる
  • 腰を反って引き始める
  • バーが前へ離れる
  • 膝や股関節の動きが変わる

という方もいます。

これは、

「デッドリフトのフォームを知らない」

というより、現在の重量をコントロールする能力を超えている可能性があります。

重たい重量を扱うことだけを目的にするのではなく、フォームを安定させられる重量から練習します。


疲れてきた後半のフォームも確認する

1回目はきれいにできていても、

8回目、9回目になるとフォームが大きく変わる場合があります。

森野は、

  • 腰が徐々に丸まっていないか
  • バーが身体から離れていないか
  • 呼吸が止まっていないか
  • お尻を使えなくなっていないか
  • 動作速度が急激に変わっていないか

なども確認します。

セットの最初だけではなく、疲労した状態でもフォームを維持できる重量設定なのかを見ることが重要です。


原因⑤ 呼吸や体幹が安定していない

K2では、デッドリフトを始める前に呼吸や体幹の使い方も確認します。

重りを持つときには、腹部や背中を含めて体幹を安定させます。

ただし、

「お腹を力いっぱい固めて、呼吸を完全に止め続ける」

ことを目標にするわけではありません。

初心者の場合はまず、

  • 息を吸ったときの体幹の広がり
  • 腹部に力を入れられるか
  • 腰だけを反らずに身体を支えられるか

などを確認します。


トレーニングベルトを使えば腰痛を防げる?

トレーニングベルト自体を否定する必要はありません。

高重量トレーニングなどでベルトを使用する方もいます。

しかし、

「ベルトを巻いているから痛くても持ち上げてよい」

というものではありません。

K2では、

  • 痛みがある
  • 重量をコントロールできない
  • ヒップヒンジができない
  • バーの軌道が安定しない

状態を、ベルトだけで補おうとしないようにします。

ベルトは、適切なフォームや重量設定の代わりになるものではありません。


「腰に効いている」のか「腰を痛めている」のか?

デッドリフトでは背中周辺の筋肉も働くため、トレーニング後に腰周辺が疲れること自体はあります。

森野がひとつの目安としているのは、疲労感の出方です。

トレーニングによる筋肉の疲労感として比較的よくあるもの

  • 筋肉全体が張る
  • 重だるい
  • 左右に広く疲労感がある
  • 少し時間が経つと落ち着く

運動を中止して状態を確認したい症状

  • 動作の瞬間にズキッと鋭く痛む
  • ピンポイントで強く痛む
  • 繰り返すほど痛みが増える
  • お尻から脚にかけてしびれる
  • 脚に力が入りにくい
  • 痛みをかばってフォームが大きく崩れる

ただし、痛み方だけから「筋肉」「椎間板」「神経」など痛みの原因組織を自己判断することはできません。

鋭い痛みやしびれが出た場合は、「効いている証拠」と考えてトレーニングを続けないようにしてください。


初心者はデッドリフトの前にヒップヒンジを練習する

デッドリフトが難しい初心者に、森野がまず練習してもらうのがヒップヒンジです。

いきなり床から重いバーベルを持ち上げる必要はありません。

壁を使ったヒップヒンジ

やり方

  1. 壁を背にして立つ
  2. 壁から少し前へ離れる
  3. 膝を軽く曲げる
  4. お尻を後ろの壁へ近づける
  5. 股関節から上半身を前へ傾ける
  6. お尻・もも裏に張りを感じる位置で戻る

ポイント

「お辞儀をする」意識だけだと、背中から曲げる方がいます。

お尻を後ろへ引くことから始めるのがポイントです。

腰を思い切り反ったり、無理に背中を固定したりする必要はありません。


いきなり床から持ち上げなくてもいい

初心者の場合、床からバーベルを持ち上げる深さまで身体を下げることが、現在の股関節や身体の柔軟性に合っていない場合があります。

その場合は、

  • 高い位置から始める
  • 軽いダンベルを使う
  • 可動域を小さくする
  • 自重のヒップヒンジを練習する

などから始めます。

床から持ち上げること自体がデッドリフト練習の目的ではありません。

まずは自分がコントロールできる可動域で動作を覚えます。

初心者がデッドリフトの前に行いたいヒップヒンジ練習と段階的な始め方をまとめた図

K2ではデッドリフトの何を確認する?

K2では、デッドリフトで腰が痛い方に対して、

「もっと背筋を伸ばしてください」

だけで終わることはありません。

理学療法士・森野は、主に次の順番で確認します。

1.痛みの場所と出るタイミング

  • 持ち上げるとき
  • 下ろすとき
  • 最後に立ち上がったとき
  • トレーニング後

など、いつ痛むのか確認します。

2.股関節の柔軟性

股関節を曲げられる範囲や、もも裏などの柔軟性を確認します。

3.ヒップヒンジ

お尻を後ろへ引きながら股関節から動けるかを確認します。

4.立ち姿勢

デッドリフトを始める前から腰を強く反っていないかなどを確認します。

5.呼吸と体幹

負荷を受けたときに身体を安定させられるかを見ます。

6.バーベルの軌道

バーが身体から大きく離れていないか確認します。

7.重量と可動域

現在の身体でコントロールできる重量・範囲なのかを確認します。

8.疲労したときのフォーム

数回行った後にフォームが大きく変化しないかを見ます。

そのうえで、

「何を直せば一番動作が変わるのか」

優先順位を決めます。


デッドリフト中に腰が痛くなったらどうする?

鋭い腰痛が出た場合、そのままセットを続ける必要はありません。

まず重量を置き、状態を確認します。

その日は、

  • 重量を大きく下げる
  • 可動域を小さくする
  • 自重のヒップヒンジへ変更する
  • 四つ這いなど支持面の多い体幹運動へ変更する
  • 腰に負担が出ない別種目に変更する

などを検討します。

また、腰痛があるからといってすべての運動を一律に禁止する必要があるわけでもありません。腰痛に対する運動療法は、慢性腰痛の痛みや機能に有効であることが示されており、デッドリフトを含む高負荷運動も、適切に対象者を選んだうえで専門家の指導下で実施された研究があります。

なお、デッドリフトに限らず「腰痛がある日に筋トレそのものを続けてよいのか」と迷う場合は、痛みの強さだけでなく、鋭い痛みやしびれ、力の入りにくさなども確認する必要があります。

運動を調整して続けられる目安や、中止して医療機関への相談を優先した方がよい症状については、「腰痛がある日は筋トレを休むべき?理学療法士が判断基準を解説」で詳しく解説しています。


デッドリフトを中止して医療機関への相談を優先した方がよい症状

次のような症状がある場合は、フォーム修正だけで解決しようとせず、医療機関へ相談してください。

  • 安静にしていても強く痛む
  • 痛みが徐々に悪化する
  • 発熱を伴う
  • お尻から脚にかけて強いしびれがある
  • 脚に力が入りにくい
  • 歩きにくくなった
  • 転倒や尻もちの後から強く痛む
  • 排尿・排便に異常がある
  • 股間周辺の感覚がおかしい

日本整形外科学会も、安静時にも軽くならない腰痛、悪化する痛み、発熱、下肢のしびれや筋力低下、排尿に関する異常などがある場合には、自己管理を続けず速やかに整形外科を受診するよう案内しています。

デッドリフトで腰に痛みが出たときに確認したい危険サインをまとめた図

よくある質問

Q. デッドリフトで腰が疲れるのはフォームが間違っていますか?

必ずしもそうではありません。

デッドリフトでは背中周辺の筋肉も働くため、腰周辺に疲労感を感じることはあります。

ただし、鋭い痛み、しびれ、繰り返すほど強くなる痛みがある場合は運動を中止して状態を確認してください。


Q. デッドリフトでは背中を絶対に丸めてはいけませんか?

腰が少し曲がること自体を一律に危険とすることはできません。持ち上げ動作での腰椎屈曲と腰痛との明確な因果関係は確立されていません。

一方、高重量で急激にフォームが崩れる場合や痛みが出る場合は、重量や可動域を見直します。


Q. デッドリフトでは腰を反った方が安全ですか?

腰を強く反れば安全になるわけではありません。

背中を丸めないことを意識しすぎて腰を過度に反っている方もいます。

自然に身体を支えられる位置を探してください。


Q. トレーニングベルトをすれば腰痛を防げますか?

ベルトを使用すること自体が問題ではありませんが、痛みを我慢して高重量を扱うために使用するものではありません。

フォーム、重量、可動域が現在の身体に合っているかを優先します。


Q. 初心者も床からデッドリフトした方がいいですか?

最初から床から行う必要はありません。

股関節の柔軟性やヒップヒンジを確認し、高い位置や軽い負荷から練習する方法があります。


香芝市・五位堂でデッドリフトをすると腰が痛い方へ

デッドリフトで腰が痛くなると、

「デッドリフトは自分には合わない」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、確認すべきなのは腰だけではありません。

  • 股関節を使えているか
  • ヒップヒンジができているか
  • 腰を反りすぎていないか
  • バーが身体から離れていないか
  • 呼吸や体幹が安定しているか
  • 重量が現在の身体に合っているか
  • 疲労するとフォームが崩れていないか

などを確認することで、トレーニング方法を調整できる場合があります。

K2 STYLE FITNESSでは、理学療法士の資格を持つ森野が、腰だけでなく股関節、背骨、姿勢、呼吸、筋力、実際のデッドリフト動作まで確認しながら、その方に合ったトレーニング方法を考えます。

「デッドリフトをすると腰ばかり疲れる」

「腰を痛めそうで重量を上げられない」

「ヒップヒンジができているのか分からない」

という方は、初回体験・カウンセリングでご相談ください。治療を目的としたものではありません。

参考資料

  • Ramirez VJ, et al. Low Back Biomechanics during Repetitive Deadlifts.
  • Swinton PA, et al. A biomechanical comparison between straight and hexagonal barbell deadlifts.
  • Saraceni N, et al. To Flex or Not to Flex? Is There a Relationship Between Lumbar Spine Flexion During Lifting and Low Back Pain?
  • Berglund L, et al. Which Patients With Low Back Pain Benefit From Deadlift Training?
  • 日本整形外科学会「腰痛」

この記事を書いた人

森野秀明のアバター

パーソナルトレーナー/理学療法士

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