「デスクワークをしていると夕方になるほど腰が痛くなる」
「座りっぱなしで立ち上がると腰が重い」
「腰痛には腹筋を鍛えた方がいいと言われたけれど、本当に腹筋だけでいい?」
「姿勢を良くしようとすると、逆に腰が疲れる」
このようなお悩みはありませんか?
座り仕事で腰が気になると、
「腹筋が弱いから腰が痛い」
「姿勢が悪いから腰痛になる」
と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、座り仕事による腰の不調は、ひとつの筋肉やひとつの姿勢だけで説明できるものではありません。
長時間同じ姿勢が続くこと、身体を動かす機会が少ないこと、股関節や背骨の動き、体幹やお尻の使い方など、複数の要素が関係している場合があります。
オフィスワーカーを対象とした研究でも、長い座位時間、静的な座り方、休憩の少なさなどと腰痛との関連が報告されています。
この記事では、K2 STYLE FITNESS所属の理学療法士・森野秀明が、
- 座り仕事で腰が痛くなるのは筋力不足だけなのか
- どの筋肉を確認・トレーニングするのか
- 「腰痛なら腹筋」だけでは不十分な理由
- お尻・体幹・股関節との関係
- 仕事中の姿勢や休憩の考え方
- 自宅で行いやすい運動
- 腰ばかりほぐさない方がよい理由
- 医療機関への相談を検討した方がよい症状
- K2では座り仕事の腰痛で何を確認するのか
について解説します。
理学療法士・森野の結論
座り仕事で腰が気になる方は、腰だけを鍛えたり、腰だけをほぐしたりするのではなく、お尻、腹部・体幹、股関節、背骨などを含めて身体を見ることが大切です。
また、「正しい姿勢をずっと維持する」ことより、長時間同じ姿勢にならないことも重要です。
K2では、座っている姿勢だけでなく、股関節の柔軟性、お尻や体幹の筋力、呼吸、足裏の接地、立ち上がったときの身体の動きなどを確認し、その方に必要な運動を考えます。
回答:森野秀明
理学療法士(国家資格)・パーソナルトレーナー
座り仕事で腰が痛くなるのは筋力不足だけ?
筋力不足だけが原因とは限りません。
長時間のデスクワークでは、身体を大きく動かす機会が少なくなります。
そのため、
- 同じ姿勢が長く続く
- 股関節を動かす時間が減る
- お尻の筋肉を使う機会が減る
- 背骨を動かす機会が減る
- 座っている時間が長くなるほど身体がこわばる
- 疲れてくると座り方が変わる
といったことが重なる場合があります。
最近のレビューでも、オフィスワーカーの腰痛には、単純な「座っている時間」だけではなく、静的な座り方や姿勢変化の少なさ、休憩の少なさが関係する可能性が示されています。
だからこそ、
「腰痛だから腹筋を鍛えよう」
だけで終わらせないことが大切です。
座り仕事で確認したい① お尻
私が確認する部位のひとつがお尻です。
座っている時間が長い方では、立ち上がる・歩く・しゃがむといった場面で、お尻をうまく使えていないことがあります。
K2では、
- お尻の筋力
- 左右差
- 股関節を伸ばすときにお尻を使えているか
- 立ち上がりで腰ばかりに力が入っていないか
などを確認します。
「お尻が弱いから腰痛になる」と一律に決めるのではなく、実際の動作でどこを使っているかを見ることが重要です。

座り仕事で確認したい② 腹部・体幹
腹部や体幹も確認します。
ただし、
腹筋運動をたくさんすればよい
という意味ではありません。
身体を動かすときには、腹部だけでなく背部を含めた体幹全体で身体を安定させます。
私は、
- 呼吸を止めずに体幹を使えるか
- 腰を強く反らずに身体を支えられるか
- プランクで腰が落ちないか
- 肩や腕だけで身体を支えていないか
などを確認します。
慢性腰痛では運動療法が痛みの軽減に有効であることが示されていますが、「この筋肉だけを鍛えればよい」というものではなく、本人の状態に合わせた運動選択が重要です。
「腰痛には腹筋を鍛えればいい」では不十分
腰痛があると、
「腹筋が弱いんですよ」
と言われることがあります。
腹部のトレーニングが役立つことはあります。
しかし、私は腹部だけではなく、
- お尻
- 股関節
- 背骨
- 呼吸
- 座り姿勢
- 普段の身体活動
なども確認します。
例えば、上体起こしを繰り返しても、その運動で腰痛が強くなるのであれば、その方に適した運動とはいえません。
一方で、プランクのような体幹トレーニングでも、腰を反らせた状態で長時間耐えていれば、フォームを見直した方がよい場合があります。
大切なのは、
「腹筋を鍛えたか」ではなく、現在の身体に合った運動を選べているか
です。
座り仕事で確認したい③ 股関節
座っている間、股関節は長時間曲がった状態になります。
そのため私は、
- 股関節の曲げ伸ばし
- 股関節前側の張り感
- 前ももの柔軟性
- 後ろももの柔軟性
- お尻周辺の柔軟性
などを確認します。
ただし、
「座り仕事で腸腰筋が硬くなるから腰痛になる」
と一つの原因に決めることはできません。
股関節の動きが小さくなっている場合は、軽いストレッチや運動によって動かしやすさを確認します。
股関節の動きは、座り仕事だけでなく、立ち上がる・しゃがむ・スクワットするといった動作にも関係します。
「股関節が硬い気がする」「しゃがむと股関節が詰まる」という方は、「股関節が硬いとスクワットが浅くなる?理学療法士が原因とセルフチェックを解説」も参考にしてください。
背骨も動かせているか確認する
腰痛があると、
「背筋を伸ばして、ずっと真っすぐ座らないと」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、人の背骨は動くためのものです。
K2では、
- 前へ曲げる
- 後ろへ伸ばす
- 身体を回す
など、無理のない範囲で背骨を動かせるかも確認します。
腰痛のある方向へ無理に大きく動かす必要はありません。
大切なのは、ひとつの姿勢に身体を固定し続けないことです。
「正しい姿勢」をずっと保たなくてもいい
デスクワークでよくある間違いのひとつが、
「良い姿勢をずっと保とうとすること」
です。
例えば、
- 胸を張り続ける
- 背筋をずっと緊張させる
- 腰を反らせる
- お腹を常に強く固める
といった座り方になっている方もいます。
特に、「姿勢を良くしよう」として胸を張るほど腰が反ってしまう方は、腹筋だけでなく、呼吸や股関節、骨盤周辺の使い方も確認することが大切です。
反り腰のような姿勢と腹筋・呼吸・股関節との関係については、「反り腰の人は腹筋をしてもいい?理学療法士が腹筋の選び方と姿勢・呼吸を解説」で詳しく紹介しています。
私は、
「良い姿勢を一日中固定すること」よりも、「同じ姿勢が長く続かないこと」を意識してほしい
と考えています。
研究でも、静的な座位や休憩の少なさが腰痛と関連することが報告されています。
デスクワーク中はどのくらいで立つ?
私がひとつの目安として提案しているのは、
30分〜1時間程度に一度、座り姿勢を中断すること
です。
これは、
「必ず30分ごとに立たなければ腰痛になる」
という医学的な絶対基準ではありません。
仕事の内容に合わせて、
- 一度立つ
- 数歩歩く
- コピーを取りに行く
- 飲み物を取りに行く
- 軽く身体を動かす
だけでも構いません。
職場での座位を立位で中断した研究では、筋骨格系の不快感や疲労が軽減した報告があります。また、オフィスワーカーを対象にした介入研究でも、アクティブブレイクや姿勢変化によって腰痛発症・再発の減少が報告されています。
仕事中に確認したい3つのポイント
1.足裏が床についているか
椅子が高すぎて足が浮いている場合は、身体を安定させにくくなることがあります。
足裏が自然に床へつく椅子の高さを確認しましょう。
難しい場合は足台を利用する方法もあります。
2.「胸を張る」ことで腰を反っていないか
姿勢を良くしようとして、腰を強く反らせている方もいます。
胸を大きく張ることより、自然に呼吸できているかを確認してください。
3.同じ姿勢を長く続けていないか
座り方そのものを完璧にするより、
姿勢をこまめに変える
ことも重要です。
「坐骨で座る」はどう考える?
私は、座っているときに、お尻の下にある坐骨付近へ体重が乗っている感覚も確認します。
ただし、
「必ず坐骨だけで座らなければならない」
という意味ではありません。
身体を前へ移動したり、背もたれを使ったり、少し姿勢を変えたりすること自体は問題ではありません。
長時間同じ形に固定しないことを優先します。
休憩中に腰を強く反らせなくてもいい
長く座った後に、
「腰を伸ばさないと」
と思って、腰へ手を当てて大きく後ろへ反る方もいます。
気持ちよく行える範囲であれば問題ない場合もありますが、腰痛が強くなる方向へ無理に動かす必要はありません。
私は、腰だけを大きく反らせるより、
- 立って歩く
- 股関節を動かす
- 身体全体を軽く動かす
ことを勧めています。
自宅で行いやすい運動① 股関節周辺のストレッチ
座り仕事の後は、股関節周辺を軽く動かします。
例えば、片脚を後ろへ引き、股関節の前側を軽く伸ばす方法があります。
ポイント
- 強い痛みまで伸ばさない
- 腰を大きく反らせない
- 呼吸を止めない
- 左右を比べる
「硬いから強く伸ばす」のではなく、無理のない範囲で行います。

自宅で行いやすい運動② プランク
体幹を使う練習として、プランクも選択肢になります。
やり方
- うつ伏せになる
- 前腕とつま先で身体を支える
- 腰を大きく反らせない
- お尻を高く上げすぎない
- 自然に呼吸する
時間
初心者は、
10〜20秒程度×2〜3セット
からでも構いません。
長時間我慢するより、フォームを優先します。
腰痛が強くなる場合は中止してください。
自宅で行いやすい運動③ 呼吸練習
K2では、腰に不安がある方の呼吸も確認します。
やり方
- 仰向けになる
- 膝を立てる
- 肩や首の力を抜く
- 鼻から自然に息を吸う
- 口からゆっくり息を吐く
息を吐くときに、
- お腹を力いっぱい固めない
- 肩をすくめない
- 腰を床へ強く押しつけない
ことを意識します。
腰ばかり揉んだりストレッチすればいい?
腰が張ると、
「腰をほぐせばいい」
と思うかもしれません。
マッサージやストレッチで一時的に楽になる方もいます。
しかし、腰痛への手技療法についてNICEは、単独で行うのではなく、運動などを含む治療パッケージの一部として検討することを推奨しています。
K2でも、腰だけを見るのではなく、
- 股関節
- お尻
- 腹部・体幹
- 背骨
- 普段の座り方
- 身体活動量
を確認します。
座り仕事だから運動した方がいい?
腰に強い痛みや注意すべき症状がない場合、身体活動を維持することは腰痛管理の基本的な考え方のひとつです。
NICEは腰痛のある方に、可能な範囲で通常の活動を続けることを勧めています。WHOも慢性腰痛への対応として運動プログラムなどを含む包括的な対応を推奨しています。
ただし、
「腰が痛くても我慢して運動した方がいい」
という意味ではありません。
痛みや症状に応じて運動内容を調整します。
「今日は腰が重いけれど筋トレしていいのか」「腰痛がある日は休んだ方がいいのか」と迷う方は、痛みの強さだけでなく、しびれや力の入りにくさなども確認する必要があります。
運動を調整して続けられる目安や、中止して医療機関への相談を優先した方がよい症状については、「腰痛がある日は筋トレを休むべき?理学療法士が判断基準を解説」で詳しく紹介しています。
腰痛が続く場合に注意したい症状
次のような症状がある場合は、自己流のストレッチやトレーニングを続けるのではなく、医療機関へ相談してください。
- じっとしていても強く痛む
- 夜間にも強い痛みが続く
- 足にしびれがある
- 足に力が入りにくい
- 歩行が急に難しくなった
- 転倒や尻もちの後から強く痛む
- 発熱や悪寒などを伴う
- 痛みが日ごとに悪化している
- 排尿・排便に異常がある
- 股間周辺の感覚がおかしい
特に、排尿・排便の異常や股間周辺の感覚低下、進行する脚の筋力低下などがある場合は、速やかな医療評価が必要になることがあります。
K2では座り仕事で腰が痛い方の何を確認する?
K2では、
「デスクワークだから腹筋を鍛えましょう」
とすぐに種目を決めるわけではありません。
理学療法士・私は、主に次のような項目を確認します。
1.どのタイミングで腰が気になるか
- 朝から痛い
- 座って30分ほどすると痛い
- 午後になると重くなる
- 立ち上がる瞬間に痛い
- 帰宅後に痛い
などを確認します。
2.座っている姿勢
- 足裏が床についているか
- 背もたれをどのように使っているか
- 腰を強く反っていないか
- 座る位置が片側に偏っていないか
を見ます。
3.股関節
股関節の可動域や、前もも・後ろもも・お尻周辺の柔軟性を確認します。
4.お尻
筋力だけではなく、立ち上がりなどで実際に使えているかを確認します。
5.腹部・体幹
プランクなどで身体を支えたときに、腰を反らずに体幹を使えるかを確認します。
6.背骨
前へ曲げる、後ろへ伸ばす、回すといった動作に大きな左右差や痛みがないか確認します。
7.呼吸
身体を必要以上に固めず、自然に呼吸できているか確認します。
そのうえで、
「今の身体では、どこから取り組むのがよいか」
優先順位を考えます。

腰痛対策は「正しい姿勢を探す」だけではない
座り仕事で腰が痛くなると、
「自分の座り姿勢が悪いんだ」
と思ってしまう方もいます。
しかし、ずっと完璧な姿勢を維持することは現実的ではありません。
大切なのは、
- 同じ姿勢を長時間続けない
- 適度に立つ
- 歩く
- 股関節や背骨を動かす
- 自分に合った運動を続ける
といったことです。
身体は「止めておくもの」ではなく、動かすものです。
よくある質問
Q. 座り仕事の腰痛には腹筋と背筋、どちらを鍛えればいいですか?
どちらか一方だけを鍛えればよいとは限りません。
腹部・背部を含めた体幹、お尻、股関節などを確認し、その方に必要な運動を選びます。
Q. 背もたれは使わない方がいいですか?
背もたれを使うこと自体が悪いわけではありません。
同じ姿勢を長時間固定することを避け、必要に応じて座る位置や姿勢を変えることをおすすめします。
長時間のデスクワークでは、腰だけでなく首や肩に負担を感じる方もいます。肩こりが気になり、「筋トレをした方がいいのか」と迷っている方は、「肩こりに筋トレは効果がある?」も参考にしてください。理学療法士の視点から、肩甲骨・胸や背中・呼吸など、確認したいポイントを解説しています。
Q. 姿勢を良くするために胸を張った方がいいですか?
胸を張りすぎて腰を強く反らせる方もいます。
「胸を張る」より、自然に呼吸でき、力みすぎていない姿勢を意識してください。
Q. 何分おきに立てばいいですか?
K2では30分〜1時間程度に一度、姿勢を変えることをひとつの目安として提案しています。
ただし絶対的な時間ではありません。仕事の状況に合わせて、座りっぱなしをできる範囲で中断してください。
Q. 腰が痛い日はプランクをしてもいいですか?
プランクで腰痛が強くならず、フォームを保てる場合には選択肢になることがあります。
鋭い痛みやしびれが出る場合は中止してください。
香芝市・五位堂でデスクワークの腰痛に悩んでいる方へ
座り仕事で腰が痛いからといって、
「腹筋を鍛えれば解決する」
「姿勢を真っすぐにすれば解決する」
とは限りません。
K2 STYLE FITNESSでは、理学療法士の資格を持つ私が、
- 座っている姿勢
- 股関節
- お尻
- 腹部・体幹
- 背骨
- 呼吸
- 身体の動かし方
などを確認し、その方に合った運動方法を考えます。
「仕事をしていると夕方に腰が重くなる」
「座った後の立ち上がりがつらい」
「腰痛があるけれど、何を鍛えればいいのか分からない」
「腹筋をしても腰ばかり疲れる」
という方は、初回体験・カウンセリングでご相談ください。
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「腰痛がある日は筋トレを休むべき?理学療法士が判断基準を解説」
も参考にしてください。
反り腰が気になり、腹筋運動の選び方を知りたい方は、
「反り腰の人は腹筋をしてもいい?理学療法士が腹筋の選び方と姿勢・呼吸を解説」
もあわせてご覧ください。
デッドリフトで腰に痛みが出る方は、
「デッドリフトで腰が痛くなる原因は?理学療法士がフォーム・ヒップヒンジ・重量の見直し方を解説」
で詳しく紹介しています。
参考資料
- NICE「Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management」
- WHO「Guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults」
- Alaca N, et al.「Low back pain and sitting time, posture and behavior in office workers: A systematic review」
- Hayden JA, et al.「Exercise therapy for chronic low back pain」



