「スクワットで深くしゃがめない」
「頑張ってしゃがもうとすると、股関節の前が詰まる」
「かかとが浮いたり、身体が前へ倒れたりする」
「SNSの動画のように深くスクワットできないのは、身体が硬いから?」
このようなお悩みはありませんか?スクワットが浅いと、
「股関節が硬いから、もっとストレッチしないといけない」
と思う方も多いかもしれません。
確かに、股関節周辺の柔軟性はスクワットの深さに関係する要素のひとつです。
しかし、深くしゃがめない原因は股関節だけではありません。
足首の動き、背骨や体幹の状態、立ち姿勢、身体のバランス、脚や胴体の長さなどによっても、しゃがみやすいフォームや深さは変わります。
実際の研究でも、スクワットの深さには股関節や足関節の可動域などが関係することが報告されています。また、足首の可動性や身体各部の長さの比率によって、スクワット時の上半身の傾き方も変わります。
この記事では、K2 STYLE FITNESS所属の理学療法士・森野秀明が、
- 股関節が硬いとスクワットが浅くなるのか
- スクワットが浅くなるその他の原因
- 足首の硬さとの関係
- 骨格によってスクワットの深さが違う理由
- 無理に深くしゃがんだときに起こりやすい動き
- 自宅でできる足首・股関節のセルフチェック
- K2でスクワットを見るときに確認していること
について解説します。
理学療法士・森野の結論
股関節周辺の筋肉が硬いと、スクワットの可動域が浅くなることはあります。
ただし、スクワットが浅い原因を股関節だけに決めつけることはできません。
足首、背骨、体幹、姿勢、身体のバランス、骨格など、さまざまな要素が関係します。
また、SNSや動画で見た人と同じ足幅、同じつま先の向き、同じ深さでしゃがむ必要もありません。
自分の身体に合った位置と深さを見つけることが大切です。
回答:森野秀明
理学療法士(国家資格)・パーソナルトレーナー
股関節が硬いとスクワットは浅くなる?
股関節の動きは、スクワットの深さに関係します。
身体を深く下ろしていくためには、股関節、膝、足首などが連動して動く必要があります。
そのため、股関節周辺の筋肉が硬かったり、股関節を十分に曲げにくかったりすると、途中で詰まり感が出て、それ以上しゃがみにくくなることがあります。
研究でも、股関節の可動域や足関節の背屈可動域とスクワットの深さとの関連が報告されています。
森野が実際に確認するのは、単に、
「前屈できるか」
「身体が柔らかいか」
だけではありません。
例えば、
- お尻周辺の筋肉が硬くないか
- 太ももの後ろ側が強く張っていないか
- 股関節を曲げたときに前側へ詰まり感がないか
- 左右で動きに差がないか
- 股関節を曲げると腰が先に丸まったり反ったりしないか
などを確認します。
股関節から身体を曲げる動きは、スクワットだけでなくデッドリフトでも重要です。
デッドリフトで「お尻を後ろへ引けない」「腰からお辞儀してしまう」「もも裏ではなく腰ばかり疲れる」という方は、「デッドリフトで腰が痛くなる原因は?理学療法士がフォーム・ヒップヒンジ・重量の見直し方を解説」も参考にしてください。
スクワットが浅い原因は股関節だけではない
「スクワットが浅い=股関節が硬い」
と考えるのは少し単純です。
実際には、次のような要素も関係します。
- 足首の動き
- 背骨の動き
- 体幹の安定性
- 足裏での身体の支え方
- 立ち姿勢
- 身体のバランス
- 脚や胴体などの身体的な個人差
- 痛みや動作への不安
- スクワットの足幅やつま先の向き
複数の要素が重なって、現在のスクワットフォームが作られています。
そのためK2では、「股関節が硬いですね。ストレッチしましょう」だけで終わらせず、身体全体を確認します。

足首が硬いとスクワットは浅くなる?
スクワットでは、しゃがむときに足首も曲がります。
具体的には、すねが足に対して前へ傾く「足関節背屈」という動きが必要になります。
この動きが小さいと、
- かかとが浮く
- 身体を大きく前へ傾ける
- 足部で動きを補う
- 膝が内側へ入りやすくなる
- 深くしゃがめない
などの動作が起こることがあります。
足関節背屈を制限した状態では、スクワット時の膝や下肢の動きが変化することが実験でも報告されています。
つまり、股関節をいくらストレッチしても、足首側に大きな制限があればスクワットが変わらないこともあります。
背骨や体幹もスクワットの深さに関係する
スクワットでは、下半身だけが動いているわけではありません。
上半身をどの位置に保つのかも重要です。
例えば、
- 背中を丸めすぎている
- 腰を強く反っている
- 胸を張ろうとして身体全体が力んでいる
- 体幹を安定させにくい
といった状態では、重心を保つために身体が余分な力を使うことがあります。
その結果、
「これ以上しゃがむと倒れそう」
という感覚が出て、スクワットの深さを制限していることがあります。
K2では股関節だけでなく、背骨周辺や腹部の筋肉、呼吸、立ち姿勢なども確認します。
反り腰のような姿勢も関係する?
スクワットを始める前から骨盤を強く前へ傾け、腰を必要以上に反らせている方もいます。
「背筋を伸ばさないと」
「胸を張らないと」
という意識が強すぎる場合にも見られます。
腰を強く反った状態でしゃがむと、股関節前側に詰まり感が出たり、身体全体が力んだりすることがあります。
反対に、背中を丸めることを必要以上に恐れる必要もありません。
なお、スクワット中に腰の痛みが出る場合は、フォームだけの問題として考えず、痛みの種類や強さ、しびれなどの症状も確認する必要があります。
腰痛がある日に筋トレを続けてよい目安や、中止した方がよい症状については、「腰痛がある日は筋トレを休むべき?理学療法士が判断基準を解説」で紹介しています。
スクワットでは、
腰を反る・丸めるという一部分だけを見るのではなく、股関節・背骨・足首が全体としてどう動いているか
を見ることが大切です。
反り腰と腹筋運動の関係について詳しく知りたい方は、
「反り腰の人は腹筋をしてもいい?理学療法士が腹筋の選び方と姿勢・呼吸を解説」
もご覧ください。
骨格によってスクワットの深さは変わる?
はい。
身体の骨格や各部位の長さには個人差があります。
例えば、
- 太ももの骨の長さ
- すねの長さ
- 上半身の長さ
- 股関節周辺の骨の形状
- 足幅
- 股関節の向き
などは人によって違います。
足首の可動性だけでなく、太もも・下腿・上半身の長さの比率によっても、バックスクワット時に必要となる上半身の前傾角度が変わることが報告されています。
また、股関節の骨形態によっては、深い股関節屈曲で詰まりや不快感が出やすい人もいます。股関節の特定の骨形態と深いスクワット時の動作との関連を調べた研究もあります。
だからこそ、
「スクワットは必ず肩幅」
「つま先は必ず正面」
「全員がお尻を床ギリギリまで下ろすべき」
という考え方は適切ではありません。
SNSのスクワットと同じフォームにする必要はない
森野が特に注意してほしいと考えているのが、
SNSや動画で見たフォームを、そのまま自分の身体へ当てはめること
です。
動画と同じ足幅、同じつま先の向き、同じ深さまでしゃがまないと「正しいスクワットではない」と思っている方がいます。
しかし、股関節の動き、足首の柔軟性、骨格は人それぞれ違います。
大切なのは、他人と同じフォームにすることではなく、自分が安定して動けるフォームを探すことです。
足幅を変えると、スクワット中に必要になる股関節・膝・足首の可動域も変化することが研究されています。つまり、フォームにはある程度の個人差があって当然です。
無理に深くしゃがむと何が起こる?
身体が動ける範囲を超えて無理に深くしゃがもうとすると、足りない動きを別の場所で補おうとすることがあります。
これを「代償動作」と呼びます。

股関節が十分に動かない場合
股関節をそれ以上曲げにくくなると、
- 腰を丸める
- 腰を反らせる
- 骨盤の位置を大きく変える
などして深さを作ろうとする場合があります。
足首が十分に動かない場合
足首側で動きを作りにくいと、
- かかとが浮く
- 足元が不安定になる
- 膝が内側へ入りやすくなる
- 上半身を大きく前へ倒す
などして動きを補う場合があります。
こうしたフォームの変化に加えて、スクワット中に膝の痛みがある場合は、無理に深さを求めず、痛みの強さや運動後の状態も確認する必要があります。
膝に痛みや違和感がある状態で、どの程度までスクワットを行ってよいかについては、「膝が痛くてもスクワットしていい?理学療法士が痛みの判断基準と負担を減らす方法を解説」で詳しく解説しています。
重要なのは、
代償動作そのものを一律に「悪い」と決めることではありません。
痛みや不安定感がある、動作が大きく崩れるなどの場合に、その原因を確認します。
深くしゃがめないのに無理をする必要はない
スクワットは、必ず最大の深さまでしゃがまなければならない運動ではありません。特に運動初心者の場合は、
- 椅子を使う
- 台を使う
- 浅いスクワットから始める
- 足幅を調整する
- つま先の向きを調整する
などによって、自分が安定して行える範囲から始めます。
安定したフォームで行えるようになってから、必要に応じて少しずつ深さを増やします。
自宅でできる足首の「壁タッチテスト」
足首の動きを簡単に確認する方法のひとつが、壁を使ったチェックです。これは病気や関節障害を診断する検査ではなく、左右差や動きやすさを見るための簡易的なセルフチェックとして行います。
やり方
- 壁に向かって立つ
- つま先を壁から少し離す
- かかとを床につけたまま膝を前へ動かす
- 膝が壁へ触れられるか確認する
- 左右の動きやすさも比べる
森野は目安として、壁から指4本分程度の位置でも確認します。
ただし、
「8〜10cmできれば正常、できなければ異常」
という診断に使うものではありません。身体の大きさや測り方でも結果は変わるため、左右差や動作中の感覚を見るために使用します。
注意すること
膝を壁につけるために、
- かかとを浮かせる
- 土踏まずを大きく潰す
- 膝を大きく内側へ入れる
と、本来確認したい足首の動きとは違う動作になります。
できない場合も、無理に押し込まないでください。
仰向けで股関節の動きを確認する方法
股関節は、仰向けになって確認することもできます。
こちらも診断ではなく、自分の股関節の動きや左右差を知るための簡単な方法です。
やり方
- 仰向けになる
- 片方の膝を両手で抱える
- ゆっくり胸の方向へ近づける
- どこまで無理なく動くか確認する
- 膝を少し外側へ向けた場合も確認する
- 左右を比較する
見るポイントは、
- 股関節前側に強い詰まり感がないか
- 痛みがないか
- 左右差が大きくないか
- 腰や骨盤を大きく動かさないと膝を近づけられないか
です。
強い痛みや引っかかりがある場合
股関節前側に、
- 強い痛み
- 鋭い引っかかり
- 挟み込まれる感覚
- 動かすたびに強い症状
がある場合は、無理に膝を胸へ押し込まないでください。
痛みが続く場合は、自己判断でストレッチを繰り返すのではなく医療機関へ相談してください。

身体は柔らかいほど良い?
柔軟性は大切ですが、
柔らかければ柔らかいほどスクワットが上手になるわけではありません。
股関節が十分に動いていても、その範囲で身体を安定させられなければ、スクワット中にぐらついたり、膝や骨盤の位置をコントロールしにくくなったりする場合があります。
そのため、すでに十分な可動域がある方に対して、さらにストレッチだけを増やすとは限りません。
K2では、
- 柔軟性が足りないのか
- 十分に柔らかいが身体を支える力が足りないのか
- 動かし方をまだ習得できていないのか
を分けて確認します。
スクワットを深くするには何から始めればいい?
まず、
「どこが硬いのか分からない状態で、全身をとにかくストレッチする」
ことから始める必要はありません。
最初に、
- 現在のスクワットを確認する
- 足首の動きを確認する
- 股関節の動きを確認する
- 足幅やつま先の向きを少し変更する
- 浅いスクワットでも安定して動けるか確認する
という順番で進めます。
例えば足首を軽く動かした後にスクワットが明らかに行いやすくなるのであれば、足首側へのアプローチを続ける判断材料になります。股関節の動きを整えた後にしゃがみやすくなる場合は、股関節側に取り組む価値があります。一方で、ストレッチをしてもほとんど変わらない場合は、筋力や姿勢、動作方法など別の要因を確認します。
K2ではスクワットが浅い方の何を確認する?
K2では、スクワットの深さだけを見て、
「もっと深くしゃがみましょう」
とは考えません。
理学療法士・森野は、主に次のような項目を確認します。
股関節
- 股関節を曲げられる範囲
- 前側の詰まり感
- 左右差
- お尻や周辺筋肉の柔軟性
- 股関節周囲の筋力
足首
- すねを前へ倒せるか
- かかとが浮かないか
- 左右差
- 足部で代償していないか
足裏
- かかと
- 母趾球
- 小趾球
で身体を支えられているかを確認します。
背骨・体幹
- 腰を反りすぎていないか
- 背中を過度に丸めていないか
- 体幹を安定させられるか
- 呼吸を止めていないか
姿勢
スクワットだけではなく、
- 立っている姿勢
- 座った姿勢
- 仰向けになった姿勢
なども確認します。
そのうえで、
「この人に本当に柔軟性が必要なのか」
「筋力が必要なのか」
「フォームを変えればよいのか」
を考えます。
よくある質問
Q. 股関節が硬いとスクワットは必ず浅くなりますか?
股関節の硬さはスクワットの深さに関係する要素のひとつですが、それだけで決まるわけではありません。足首、背骨、体幹、骨格、姿勢、足幅なども関係します。
Q. 深くしゃがめないのは身体が硬いからですか?
必ずしも柔軟性だけが原因ではありません。身体を支える筋力やバランス、足幅、つま先の向きなどによってもスクワットの深さは変わります。
Q. スクワットはお尻が床につくくらいまで深くした方がいいですか?
全員が同じ深さまでしゃがむ必要はありません。目的や身体の状態によって適切な深さは異なります。まずは痛みなく安定して行える範囲を優先しましょう。
Q. 足首が硬いか自分で確認できますか?
壁へ膝を近づける壁タッチテストは、簡単な確認方法のひとつです。ただし、結果だけで異常を判断するものではありません。左右差や、かかとを浮かせずに動けるかなどを見る目安として利用してください。
Q. 股関節前側が詰まる場合はストレッチした方がいいですか?
強い詰まりや痛みがある状態で、無理に股関節を押し込むストレッチを続けるのはおすすめできません。足幅やつま先の向きを変更することで動きやすくなる場合もあります。症状が続く場合は、医療機関などで状態を確認してください。
Q. SNSと同じスクワットフォームにする必要がありますか?
ありません。骨格や身体各部の長さ、柔軟性には個人差があります。動画は参考になりますが、その人と全く同じ足幅、つま先の向き、深さに合わせる必要はありません。
香芝市・五位堂でスクワットフォームに悩んでいる方へ
スクワットで深くしゃがめないと、
「もっと股関節をストレッチしないと」
と思うかもしれません。
しかし、原因は股関節だけとは限りません。
- 足首が動いているか
- 股関節に詰まりがないか
- 足裏で身体を支えられているか
- 腰を反りすぎていないか
- 体幹を安定させられているか
- 現在の足幅が身体に合っているか
などを確認する必要があります。
香芝市・五位堂周辺のK2 STYLE FITNESSでは、理学療法士の資格を持つトレーナーが、スクワットの見た目だけではなく、股関節、足首、足裏、姿勢、呼吸、筋力などを確認しながら身体づくりをサポートしています。
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※K2 STYLE FITNESSは医療機関ではありません。本記事は一般的な運動情報を紹介するものであり、病気やけがの診断・治療を目的としたものではありません。股関節に強い痛み、引っかかり、歩行への影響などがある場合は、無理にスクワットやストレッチを続けず医療機関へご相談ください。
参考資料
- Kim SH, et al. Lower extremity strength and the range of motion in relation to squat depth.
- Fuglsang EI, et al. Effect of Ankle Mobility and Segment Ratios on Trunk Lean in the Back Squat.
- Macrum E, et al. Effect of limiting ankle-dorsiflexion range of motion on lower extremity kinematics and muscle-activation patterns during a squat.
- Demers E, et al. The Effect of Stance Width and Anthropometrics on Joint Range of Motion in the Lower Extremities during a Back Squat.
- Bagwell JJ, et al. The Influence of Squat Kinematics and Cam Morphology on Acetabular Stress




